備蓄水に最適な水の種類と量は?保管する際の注意点についても解説

防災グッズ

災害時に備えて必ず備蓄しておきたいものの一つが水です。飲料用の水はもちろん、調理に使う飲食用、風呂用やトイレ用の水も備える必要があります。

「ペットボトルが数本あればいい」「とりあえずキッチンにまとめておこう」と安易な判断はせずに、不測の事態に備えましょう。

今回は、備蓄として水はどのくらい備えればいいのか、備蓄水の保管方法や購入のしかた、備蓄に最適の「長期保存水」について紹介していきます。

札幌在住、40代男です。「マイホームと家族を守りたい!」がモットーで防災について勉強しています。家族と家、両親を守るため勉強した防災の知識を発信しています。周りの人を守るため、一緒に防災について学んでいきましょう!

備蓄水はペットボトルの水を9L分用意する

災害に対する備えとして、ペットボトルの水は9L分用意しましょう。大人1人が必要とする水の量は1日あたり3L、少なくとも3日分で9L必要です。

備蓄水9Lのうち、もっとも重要なのが水分補給するための飲料用の水です。私たちの体は約7割が「体液」と呼ばれる水分でできており、体液はさまざまな役割を担っています。

その役割とは例えば「酸素や栄養分を細胞に送り届ける」「老廃物を尿と一緒に体外に出す」といった命に関わる大切なことです。

水分補給がままならない状態が続くと、こういった役割も果たせなくなります。悪化すれば脱水症状や意識障害といった体調不良を引き起こすでしょう。

災害時のような緊急事態であればこそ、体調不良は避けたいところ。大きな災害であるほどライフラインの停止や救助の遅れも想定されます。

復旧するまでの数日を自力で乗り切るために、備蓄水は大人1人あたり9L用意してください。

長期間保存できるペットボトルの飲料水

ペットボトルの水は、常温のまま長期間保存できます。市販されている500mlの水なら未開封で平均1年、1.5~2Lの水なら2~3年が保存期間の目安です。

市販ボトルの飲料水を長期間保存するなら「ローリングストック法」を活用しましょう。

ローリングストック法とは「備蓄として多めに買い置きし、その中から古いものは消費して、消費したぶんをまた新たに買い足す」を繰り返す方法です。

普段の生活で消費するためムダがなく、必要なときに消費期限が切れていたという心配もありません。ボトルの飲料水に限らず、備蓄用の食品にもおすすめの管理方法です。

飲食用・風呂用・トイレ用など様々な用途に使うため

飲料用の水以外にも、水は生活のさまざまな場面で必要になります。例えばお米を炊いたり、汁物を作るための飲食用の水です。

飲食用の水は調理する過程で加熱処理されますが、ペットボトルの水を使ったほうが安心でしょう。

「加熱するなら水道水の保存でもいいのでは」と思う人もいるかもしれませんが、水道水はおすすめしません。

水道水は塩素の働きで雑菌の繁殖が抑えられていますが、その効果は常温で3日、冷蔵庫でも10日程度です。長期間保存してしまうと、細菌が繁殖します。

もし水道水を保存するなら風呂用、トイレ用として備蓄しましょう。

風呂用の水があれば、お湯を沸かして体を拭いたり、顔も洗えます。お湯で体をキレイにできるだけで、災害時のストレスが少し和らぐはずです。

できれば水と一緒に、卓上コンロも備えましょう。ガスや電気が使えなくてもお湯を沸かせる強い味方になります。

トイレ用の水は、1回あたり約10L使います。「10L×3日ぶん×家族の人数」を考えて備蓄してください。家族が多ければ多いほど、備えるべき水の量も多くなります。

ボトルの水だけでは足りない、備えとして不安を感じる場合は、お風呂の残り湯を活用しましょう。浴槽半分くらいの残り湯があると、トイレ用の水に困りません。

備蓄水を保管する際の注意点

災害時に備えて備蓄水を保管するときは、次の2つのことに注意しましょう。

直射日光が当たる場所は避ける

備蓄水を保管するなら、直射日光が当たる場所は避けましょう。直射日光に当たり続けるとペットボトルが変形したり、品質を低下させる可能性もあります。

また芳香剤のような香りの強いものと保管するのは避けてください。ボトルは未開封でも、わずかな空気を通します。並べて保管していると、水に香りが移ってしまうかもしれません。

備蓄水の保管は直射日光が当たらない、家のクロークなどに保管しましょう。なるべく高い場所は避けて、床から近い位置に保管します。

高い位置に置いてしまうと、大きな地震が来たときに危険です。落下して破損したり、水が飛び散って非常食を水浸しにする可能性もあります。

一か所にすべて保管しない

備蓄水は一カ所にまとめずに、別々の部屋に分けて保管してください。例えば地震で建物や家具が歪んだときに、扉が開かない状況が考えられます。

扉が開かなければ、せっかくの備蓄水も取り出せません。災害のような緊急事態では命に関わる状況になります。

備蓄水の保管場所は?

備蓄水は保管する場所も重要です。家の中に適した場所がないときは、トランクルームの利用も検討しましょう。

クローゼットやキッチンの収納、トランクルームなど複数の場所に保管する

備蓄水はまとめて保管せずに、できるだけ分散させて保管します。

自宅なら1階と2階に分けてもいいでしょう。洪水や津波といった水害に見舞われたときに、1階は全滅する可能性があります。

2階に保管するなら寝室やクローゼット、1階ならキッチンがおすすめです。玄関から近い場所にも保管しておくと、自宅から避難するときに持ち出しやすくなります。

家に備蓄水を置くスペースがない場合は「トランクルーム」を活用しましょう。トランクルームとは、普段あまり使わない物を収納して保管しておけるサービスのことです。

種類は大きく分けて「屋内型」と「屋外型」の2種類あります。 

  • 屋内型 

屋外型は、ビルなどの中にあるトランクルームです。直射日光に当たることもなく空調管理がされているため、備蓄水の保管に適しています。

24時間いつでも出入りできる屋内型トランクルームなら、いざという時にも安心です。重たい水を持ち出すことを前提に、ビルの入り口から移動距離が少ない、エレベーターがあるトランクルームを検討しましょう。

  • 屋外型

屋外型は、コンテナ・ガレージタイプのトランクルームです。

トランクルームの目の前まで車で行けるので、備蓄水のような重いものの保管に適しています。ただ、屋外型のトランクルームに空調はありません。

夏の暑い日や冬の寒い日は、外気の影響を受けやすくなります。屋内型に比べて害虫も侵入しやすいので、トランクルームに保管するのは水や食品以外の備蓄にしましょう。

備蓄水はどこで買える?

災害への関心や意識の高い人が増えて、備蓄水を購入できる場所も多くなりました。今回は「ホームセンター」と「Amazon」を紹介します。

ホームセンター

備蓄水は、一般的なホームセンターで購入できます。最近は災害対策コーナーを設置しているホームセンターがほとんどです。

重い水を自宅へ運び入れるのに不安がある人は、ホームセンターのネット通販を利用しましょう。

ホームセンターで備蓄水を購入するなら、防災用の給水タンクも揃えましょう。給水タンクがあれば、給水車から水の供給を受け取れます。

コンパクトにたためて収納場所に困らない「バッグタイプ」は1人暮らしの人に、大容量で積み重ねができる「タンクタイプ」は家族が多い人におすすめです。

Amazon

備蓄水は、Amazonなどネット通販サイトからの購入が便利です。好きな時に買えて、あとは自宅で受け取るだけ。買ったあとに運んだりする手間もありません。

もし備蓄水9Lをスーパーで購入すれば、重さ9kgにもなるボトルを自宅まで運ぶ必要があります。戸建住宅に住んでいる人なら運ぶ手間も少なく済みますが、マンション住まいの人は大変です。

駐車場と部屋を往復することになり、とくに高齢の人には大きな負担になるでしょう。

「ネット通販サイトの備蓄水は価格が高そう」と思う人もいるかもしれません。ブランドやメーカーさえ気にしなければ、Amazonでも手ごろな価格で購入できます。

水は何年もつ?

備蓄用の水なら、一般的なペットボトルの飲料水より長く保管できます。「買い替えが面倒」「消費期限が気になる」人におすすめです。

備蓄用の水なら5~7年は保存できる

ペットボトルの水は500mlなら平均1年、1.5~2Lの水は2~3 年の消費期限が表示されています。その消費期限の根拠は「量を維持できる期間」です。未開封であれば、品質にまったく影響はありません。

それでも消費期限が切れた水に抵抗がある人は「備蓄用の水」を備えましょう。備蓄用の水とは、5~7年保存できる飲料水です。

一度購入すれば、消費期限を気にすることなく、自宅のクロークやトランクルームに保存しておけます。

長期保存水は体に悪い?

長期保存水を飲んでも、体に悪い影響はありません。保存料も使われておらず、普通の飲料水と味も同じです。長期保存水を長期保存できる理由は「詰める前の徹底した殺菌処理」と「特殊なボトル」です。

普通の飲料水に施す回数よりも多く高温加熱による殺菌処理を行い、徹底した衛生管理のもとに水を入れています。保存性に優れたキャップが使われており、ボトル内部に空気が入らない仕組みです。

長期保存水は添加物や薬品を使って、長い保存期間を実現しているわけではありません。殺菌処理されて頑丈なボトルに入れられているので、備えとして安心・安全に保管しておけます。

まとめ

備蓄水は大人1人あたり、ペットボトルで9L用意してください。地震、台風、大雨による土砂崩れなど、毎年どこかで災害が発生しています。

「内陸だから津波は来ない」「備えがなくても何とかなる」という考えは危険です。せめて本格的な救助や援助が始まるまでの数日間は乗り切れるように備蓄しましょう。

市販されているペットボトルでも1~3年は保管できますが、心配な人には「長期保存水」がおすすめです。長期保存水なら、消費期限を気にすることなく5~7年保管しておけます。